最近良く目にしたので読んでみまして。本書の中で「特徴ではなく利点を語れ」とあり、たしかにそうだなと思ったのでまとめてみます。
◇様々な「付加価値」について学べる。付加価値と言ってもただ足すだけではなく、コストの見直しも含めた全体的な価値の向上について触れられています。
◇キーエンスがどういう構造で付加価値を作っているかが学べる。キーエンスの分析の本ではないので、そこは深く掘り下げられていませんが、根っこにある考え方みたいなものは学べるのではないでしょうか。あまりキーエンスに興味がなくても読めると思います。
◇最後のページにポイントがまとめられているのでサクッと復習できる。
この辺が利点でしょうか。本書の中でも触れられていますが、自身の仕事の質について悩んでいるのであれば納得できる部分も多いのではないでしょうか。
以下は感想です。
価値とはなにか
価値とはその時代、場所にいる様々な人が決めるものだと思います。石ころ、刀、チューリップの球根、仮想通貨。人が何に価値を感じるかどうかは時代に合わせて大きく変わるものだと思います。
価値が「わかる」のは一つの共感能力で、「誰かの気持ちになって考える」なんて使い古された言葉になるのではないでしょうか。でもこれができないと相手に価値を提供しようがない。安けりゃ買うでしょ、とか買ったときだけで終わらせてはいけない。買ってもらって、使ってもらって、それを継続してもらったり人に広めてもらったりしなければいけない。そのために価値を高める必要がある、この辺はありふれた話かなと。
洗濯機の洗浄力にフォーカスしている部分がありますが、これも時代が変われば別におかしな話でもなく、例えば洗剤がなくても洗浄できるようなものがあるとしたら、環境への影響を考える人が増えつつある昨今ではかえって価値を持つかもしれない。
なので「価値がない=無駄」というよりは、その時代の大衆、マジョリティにはウケが悪かった、だけなのではないかなと考えました。価値を感じていない人に新たな価値観を植え付けることも、売る側としての腕の見せどころなのかもしれません。
潜在と顕在
価値を感じていない≒自分では気づいていないことなのであれば、それは潜在的なニーズかもしれない。お客さんがほしいと思うことには顕在化しているものと潜在的なものがあり、よく氷山の画像で表されます。顕在化している部分は氷山の一角であり、見えていない潜在ニーズはとても大きい、というアレ。これを探し出せないと、大きな付加価値はつけられない。
「それは盲点だった」「その発想はなかった」といったものは、本当にちょっとした視点の切り替えによって生まれるもので、あまりにもかけ離れすぎると全く気づかずに時代が追いついていない、みたいなことになるのかもしれません。
作業<仕事?
誰にでもできるようになったことはアウトソースする。誰でもできることを一生懸命にやるのは得意な人はいるので、うまくマッチングすればいいし、安い単価で長時間労働させるようなものでなければいいですけどね。その上流の工程で生み出した利は、下流の工程に還元されることはあるのでしょうかね。
「誰にでもできること」っておそらく年々レベルが上がります。携帯もなかった時代からスマホを当たり前のように扱う時代に急激に変わってもその辺の知識レベルがベースになるので、当たり前のラインが引き上げられる。大体の人はできるかもしれないけど、一方で置いてけぼりになる人も少なからずいるでしょう。
そんな時代で「仕事」をしている人は「作業」をしている人に価値を感じているのか。どこかにしわ寄せが来るものでないことを切に願います。