自身の発した言葉に困り、誰かの言葉に悩まされる

好き勝手に考える

口から発せられた言葉は波として空気を伝わっていく。

近くに人がいればその人の耳を通じて言葉として認識される。そうでなければ拡散してどこかへ消えてしまう。

しかし本当に消えてしまうのか。実はどこかその辺に残っていたりしないか。

探すように思い出そうとウロウロしてみても見つからない。数秒前まで忘れないように口にしていたものがどこかその辺に落ちてたら「あーそうだこれこれ」ってな感じでよく考えていたことを忘れる私にとっては嬉しいけれど、もしそうなったらあっという間にゴミ屋敷になりそうな気もする。

発された言葉を消すには同じタイミング別の音を発して打ち消すしかない。

それには音の速さを超えなければいけないので、自分で発した言葉はどうやったって取り消せない。たまたま告白した瞬間に電車が通って誰も聞こえないみたいなことでもない限りは、削除してなかったことにするなんてことはできない。

もし発した言葉を取り消せる道具ができたら、失言でいろいろやらかしている人はたくさんいそうなので大ヒット間違いない。

発された言葉が悪意を持っていようがいまいが、それを受けた人には澱のように溜まっていく。その人にとって嫌な言葉は、嬉しい言葉よりもずっと残りやすいように思う。誰にだって言われて忘れられない言葉の一つや二つはあるはずで、よくも悪くもなかなか消えてくれない。

他人のどうでもいい愚痴だって、聞き続けたら何か起こるかもしれない。詳細は差し控えるがあまりにも雑な話で愚痴をきかされると「わしゃ痰壺かなんかか」と脳内に千鳥もどきが出てくる。

愚痴を聞くのが平気という人は体内に除去フィルターでもあるのだろうか。相手の言葉の意味を濾過するフィルター。あったらほしいものだ。

自分で放った言葉は自分の耳にも入ってくるので、たとえ独り言だったとしても自分自身に良くも悪くも蓄積する。

「考えは言葉となり、言葉は行動となり〜」というやつ。個人的にはこれがプラスに働いた経験はまだない。困難に向き合った瞬間「いいね、ワクワクする」とか「唆るぜ、これは」とか言ってみたい人生だった。

昨今、生活では接点がない人間の言葉が簡単に目や耳から入ってくる。

全てをシャットアウトして生きていくのは難しいくらい生活にツールが浸透してしまっている。悪意を持って言葉を投げつけてくる輩にはこれから法が整備されていくとして、相手が傷つくような言葉は使わないに越したことはないが、どの言葉が相手を傷つけないかを定義できない以上、完全に失くすことはできない。AIなどがそれを解消してくれるのだろうか。

またそうなった時、それは自分の言葉だと言えるのだろうか。

社会で生きていく以上、誰かの言葉に触れずに暮らすことは出来ない。

個人的にはできれば触れないで生きていきたいけど、霞を食って生きていく能力はまだ身につけられていないので、今は頑張って自分を社会に溶け込ますしかない。

目にはまぶたというシャッターがあるのになぜ耳にはないのだろうか。鼻も匂いを嗅がないようにしようと思えばできるし、口呼吸はしなければならないけど普段は閉じていられるのに。

このまま人類が進化したさきに耳に言葉を聞かなくする機能は実装されるのだろうか。聞こえない状態を自由に切り替えられるような能力がほしい。それは集中力を自在にコントロールできることと同義かもしれない。やっぱり瞑想や睡眠が重要なのか。

これまで試したイヤホンや耳栓だと耳が窮屈なので、つけてるかどうかわからないくらいのはないものだろうか。

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